疾病と症状
グッピーの集団的疾病の主な病名と症状です。
青字は共通の症状です。
病気の種類や進行状況によって畳み具合は変わります。
病原 | 病名 | 症状 |
白点虫 | 白点病 |
下記のいずれか、または複数の症状を示す。
- 各ヒレや体表などに0.5mm程の白い点が出る。
- 各ヒレや眼球表面が白く濁る。
- ヒレを畳み、ダルそうに泳ぐ。
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エピスティリス | エピスティリス症 |
下記のいずれか、または複数の症状を示す。
- 体表に0.5mm程の白い点が出る。
- ダルそうに泳ぐ。餌食いが悪い。
- 餌を食べていても、痩せていく。
- ヒレを畳む。
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カラムナリス | 尾腐れ・口腐れ病 |
下記のいずれか、または複数の症状を示す。
- 体の各部位が腐り、血が滲んだりカビが生える。
(部位によって病名が変わる。)
- ヒレを畳み、頭を振って泳ぐ。
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カラムナリス症 |
下記のいずれか、または複数の症状を示す。
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グッピー病 ※1 |
下記の全ての症状を伴う
- ヒレを畳み、頭を振って泳ぐ。
- 発症しないのはゼロから数パーセント。
- 発症発見の翌日には90%以上が発症。
- 上記の翌日には50%(匹)以上死滅。
- 更に上記の翌日までには 90%(匹)以上死滅。
- 発症が急峻で、「ほぼ全滅」までの時間が2〜5日と短い。
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ハリ病 ※1 |
下記の全ての症状を伴う
- 生後1週間までの稚魚のみが発症する
- ヒレを畳み、頭を振って泳ぐ。
(稚魚で小さいため、尾が針のように細く尖って見える。)
- 発症しないのはゼロから数パーセント。
- 数日後の生き残りは数パーセント。または全滅。
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全身腐れ病 ※A |
下記の全ての症状を伴う
- 目やヒレ先から腐りはじめ、全身に到る。
- 表面が白っぽく粉を吹いたように腐る。
- 生きていても動かなくなる。
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- ※1:病原は諸説ありますが、現在当店では劇症性のカラムナリスか、
ウィルスによって免疫力が下がることによるカラムナリスの劇症化と推測しています。
- ※A:カラムナリスの一亜種と思われます。推測による分類であり、仮名です。
グッピーは調子を崩せば、多かれ少なかれヒレ(目立つのは尾)を畳むのです。
(継続して畳んでいない場合、病気ではありません)
発病する主な引き金
集団的疾病に陥る主な引き金です。
青字は共通の引き金です。
病原 | 病名 | 発病する主な引き金 |
白点虫 | 白点病 |
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エピスティリス | エピスティリス症 |
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カラムナリス | 尾腐れ・口腐れ病 |
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カラムナリス症 |
- 水質悪化のみ、または悪化+急変。
- 良好でない水質条件下で違う品種・系統との混泳開始。
(免疫の無い、異なるタイプのカラムナリスによる)
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グッピー病 ※1 |
下記の全ての条件が揃う。
- キャリアの混入。
- 水質悪化のみ、または悪化+急変。
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ハリ病 ※1 |
下記の全ての条件が揃う。
- キャリアの混入。
- 水質悪化のみ、または悪化+急変。
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全身腐れ病 |
下記の全ての条件が揃う。
- アジア系外国産グッピーを飼育。
特に国産グッピーと混泳させると、
国産グッピーから先に発症します。
- 水質悪化・急変。
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全ての病気に「水質悪化」が関係しています。
清浄な水が保たれているような、良好なバクテリアによる支配・ろ過 が行われている
環境では、多くの病気が発生しません。
対処法と効き目
集団的疾病に対する、早期発見・対処時の主な対処法と効き目です。
◎: | 効き目大きい。 |
○: | 効き目有り。 |
△: | 効き目が認められる場合有り。 |
×: | 効き目なし。ただし、発病・感染予防効果は否定しません。 |
〜: | 異なるタイプ・環境などにより変わります。 |
病原 |
病名 |
対処法 |
薬
| 塩 ※2
| バクテリア 製品
| GGTL
| 絶食
| 水換え (大量)
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白点虫 | 白点病 |
◎〜○ | ◎〜△ | △〜× | × | △〜× | △〜× |
エピスティリス | エピスティリス症 |
◎ ※3 | ◎ | ◎〜○ | × | ◎ | ◎〜× |
カラムナリス | 尾腐れ・口腐れ病 |
◎ | ◎ | ○〜× ※4 | ○〜× | △〜× | △〜× |
カラムナリス症 |
◎〜△ | ◎〜△ | ◎〜△ ※4 | ◎〜△ | ◎〜△ | ◎〜× |
グッピー病 ※1 |
× | × | × ※4 | × ※5 | × | × |
ハリ病 ※1 |
× | × | × ※4 | × ※5 | × | × |
全身腐れ病 |
○〜× | × | × | × | △〜× | × |
※2:1〜1.5重量パーセント。50リットルの水なら500gの塩で1重量パーセント。
※3:副作用として、出産時期の遅延などがある場合有り。
※4:「グッピー元気」なら予防効果大きい。
※5:予防効果大きい。
いわゆる「グッピーエイズ=グッピー病・針病」には、薬も塩も効きません。
ただし、他の疾病の場合でも、発見・対処が遅れた場合には効きません。
■ カラムナリス系疾病の「とりあえず なんでも対処法」
新規投入・違系統追加時などの予防にも
- 水を100%または100%近く換え、ろ過槽の目詰まりも取り除きます。
- 次は塩です(濃度は「対処法と効き目」を参照)。塩が入っているのに発症した場合や、
他の生体が塩に耐えられない場合は、薬の使用を考えます。
- 薬を使わない場合で GGTLが有れば入れます。
- 細菌性疾病用の薬(黄色いタイプ)を使わない場合は、市販のバクテリア製品も使います。
そのバクテリアが塩に耐えられるかの確認も必要です。
1を行った場合は、必ず使いましょう。
- 絶食します。快方に向かっていることがハッキリ分かるまでです。
快方に向かった場合、全快するまでは少量にします。
餌を与えて悪化した場合、1から始めるか、5を続けるかの境目です。
- 全快と言えるまでの期間は、快方に向かい始めてから約2週間後です。
針病(ハリ病)について
グッピー病との違い
グッピー病は稚魚から成魚まで、幅広く発症します。
ハリ病は「生後1週間までの稚魚のみ」発症しますが、成魚でもキャリアとなります。
カラムナリス症との違い
カラムナリス症の場合、薬や塩など何らかの処置に対して効果が認められます。
何も効かないからこそグッピー病と共に「グッピーエイズ」と呼ばれ恐れられたのです。
疾病と症状の項目を、再度ご確認下さい。
某誌の大きな間違い
某誌で図1のような症状を針病として示していました。全く違います。
正しくは図2のような症状です。図1のような症状を示す病気は見たことがありません。
(ここまで大きな間違いも、初めて見ました)
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図1 | 図2 |
病気で ○ というのも変な感じですが。
グッピー病と針病の現状
グッピー病は、国産・外国産 共に見かけなくなりましたので、
よほど怪しい物に手を出さない限り心配は無いでしょう。
ただし針病は現在でも外国産(主にアジア系)グッピーに散見されますので、
繁殖を狙うのであれば安全性の高い国産をお勧めいたします。
全身腐れ病
アジア系外国産グッピーのみの場合では滅多に発症しませんが、
国産グッピーを混泳させると発症する確率は高いようです。
一部の魚病薬が効き目を示しますが、塩が全く効きません。
外国産グッピーとの混泳は避けたほうが良さそうです。
[2007/4/16 追記]