ヘイケ蛍を水槽で羽化させる
昨年度産のヘイケ蛍が、終齢サイズに達したので、羽化実験を行いたいと思います。
普通は、土の中で土眉を作り、蛹となって羽化しますが、今回は土の中と、土の表面で蛹になる両 方に挑戦してみます。その幼虫の進行具合を写真でお見せできれば幸いです。
羽化装置の準備
水槽 市販の40㎝水槽
土 ホームセンターで売っている赤玉土細粒
プラ板 4×10(㎝)厚さ2~3㎜(土中水位を知るための、簡単な装置)
ポリエチレンの薄いシート 買い物袋を代用
黒い布 水槽を覆える大きさ
羽化水槽をつくる
赤玉土を水洗いして、ごみを洗い流す。
洗った赤玉土を水槽に、約5㎝の厚さに,敷き詰める
水槽角の一か所に、土中水位を調べるための水位計を作るために、水槽角の土をどかす
そこに三角形の空間ができるように、プラ板を縦にし、一方を底に付け、押し当てながら
土を平らにし、プラ板を固定する。プラ板の底に当たる両角を削り、水槽のシリコンを逃げるようにしておくと、隙間ができず、土が内部に入らないので都合が良い。
土をゴムベラを使って平らにする。この時、土が固く閉まらないよう注意する。固いと幼虫が潜れない。固くなってしまったら、ピンセットなどを使って全面を耕し(深さ3㎝位)、それが済んだらゴムベラ で、土が固まらない程度に平らにする。
土中水位計を見ながら、水位が0.5~1㎝になるよう、水の出し入れで調整する。安定するまでに2~3日かかることがある。
コーナーにセットした水位計 水位計内の水位をチェック
幼虫を上陸させるには
赤玉土の上に幼虫を直接放す方法と、水を入れた小さな池を、赤玉土の上に置き、幼虫を放し、上陸したい幼虫のみ上陸させる方法があります。
終齢幼虫だからといって、いつでも上陸できる態勢にある訳ではなく、無理やり上陸させても、土眉を作らず、親にならない幼虫がたくさんいます。
今回は、池を使う方法を採用します。池と言っても大げさなものではなく、園芸用の植木鉢を入れるお皿を代用します。
池を用意する
平らにして水槽の中央に入る大きさ。(大きすぎると斜めにしないと入らず、取り出すとき、水がこぼれるので注意)
池を水槽に入れる
水槽中央の赤玉土の上に置きます
幼虫を入れる
池の高さの半分くらいまで水を入れ、用意した終齢幼虫を放します。
水槽内の湿度を上げる
水槽開口部全面に薄いポリシートを被せ、その上に、プラ蓋をします。これで水槽内は高湿度を保ちます。あえて酸素口を作らなくても、酸欠は起こしません(経験上)
水槽内部を暗くする
水槽に黒布を被せ光を遮断します。
暗く高湿度の環境を与えると、幼虫は上陸をします。
翌日100%上陸していれば文句はありませんが、ほとんど上陸していないこともあります。がっかりしますが、これは、幼虫の前処理が出来ていないせいです。それを考えるのも楽しいものです。ぜひ解明してください。私は4年掛け今回の前処理に至りましたが、それが正しいか否かは、今回の羽化実験に掛かっています。
上陸は1~2日で終了します。上陸しなかった幼虫は、それ以後いくら待っても、ほとんど上陸しません。ですから2日経ったら幼虫を元の水槽に戻します。上陸率90% 以上を狙っていますが結果はいかに?
土中水位を確認
赤玉土の高さは約5㎝、土中水位(土の底に溜まっている、水の高さ)0.5~1㎝。これを高くすると上陸幼虫は、浅い場所に土眉を作ります。さらに高くすると、土上に土眉を作ったり、土眉を作らず土上で蛹になる個体もいます。
これ以後は、写真で変化を追っていきます。
6月2
赤玉土を入れ準備した羽化水槽 幼虫を入れる シートを被せ蓋をする
幼虫は壁面に移動 湿度が高いと壁面を登り暗くなるのを待つ 夕方になったら黒布を被せ、光を遮断する
明日、何匹が上陸しているか?
室温は25±2℃です。
6月3日
46匹が上陸しました。
4匹残った 幼虫は地表にたむろ。 土中水位が、高くなっていた。水位を0まで下げる
6月4日
昨日池に残った4匹の内、1匹が上陸した。上陸率94%
上陸しなかった3匹の幼虫は飼育水槽に戻した。
6月5日
写真右上は 土眉を作ったようだ 潜っただけかな 土眉を作り始めたようだ
地表の幼虫 土眉を作り出している個体がいるように見えるが、移動すること多々あり
6月6日
土眉を作ったと思われる幼虫が出て来たので、追跡幼虫3.4匹を決めたい。
写真 右上 第一候補
6月7日
土中水位が2㎝を超えていたので、0㎝まで下げた。
追跡幼虫を決める日、6カットを決めてみたが、途中変更がありうるので悪しからず。
地表に作った土眉 地表と地中 右の1匹は幼虫が確認できない
地表に半分土眉を作った 地表に半分 左は地表 右は地表に半分
6月8日
土に潜り土眉を作った幼虫は移動しないが、地表で半地下を作っただけの幼虫は移動しやすいので追跡できなかった。仕方がないので動きが止まるのを待ちます。
6月9日
写真上の3枚は同一被写体、下の3枚は?地表の幼虫は夜中動き回っているので地形が変わってしまい、場所の設定が出来ず、同じ幼虫を追うことは不可能。
6月10日
パソコンがよく解っていないのに、ブログが出来る訳がない。それに手を出したのが失敗だったか。少しづつ勉強、見ずらいのは、我慢してください。 8日目 左が蛹になった
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地表の幼虫は未だに決定できないでいる。土眉を作らず蛹になった個体が出てきてしまった。地表幼虫の追跡は難しい。
6月11日
蛹になる個体が増えてきた。
9日目 右が蛹になった 前日の写真と比較、蛹が動いているのが解る
6月12日
蛹に変態する幼虫が、増えてきた。
10日目 右上が蛹に
6月13日
土眉内の幼虫や蛹は死亡率が高い。前日の写真と比べ動いていれば大丈夫。
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土中水位が高くなっている。そのため幼虫は深くは潜らない。地表で蛹になる確率が高くなる。水位はこのまま持続する。
土中水位は3㎝、土の高さ5㎝、土の高さ4㎝位まで水でビショビショしている。これでは地表から1㎝位までが潜る限界。
土の表面で土眉を作らず蛹になる幼虫が目に付き出した。
6月14日
地表幼虫が地表で蛹になりだした。写真左から3番目の右幼虫は蛹になるとき土眉から地表にでてしまったようだ。その下写真はその蛹。下段中央は地表にたむろしていた幼虫が蛹に変態したところ。幼虫もいるのでここを追跡撮影して見る。
本来、土の中で蛹になりますから、光は完全に遮断されています。このような飼育で注意することは撮影時以外水槽を黒布で覆い暗くすることです。また湿度管理も大切で湿度を下げ無いよう注意します。す。
6月15日
写真上段右の左蛹は明日、もしくは明後日成虫になる。
6月16日
写真中央、上の左蛹が親になった。このまま3日間土眉の中で過ごします。一方右上の蛹、動きが弱いので、親になれるかどうか心配です。
16月17日
写真中央、上の右蛹が親になった。上写真右の地上に出てしまった蛹、前日の写真と比べると、動いているのが解る。動かなくなった時は死んだ確率大。
6月18日
写真上段左上が蛹になった。下段左の左蛹、生きていれば明日変態して親になる。下段右写真は昨日黒色化した蛹が親に変態、赤色の胸部が見えているので入れ替えた。
6月19日
土眉から出た成虫が10匹を超えている。この成虫を、産卵させるプラケースに移した。
6月20日
追跡した幼虫が成虫になって、土眉から出て空が目立ってきましたから、ここで追跡は終了します。
土眉を作った後、死んでしまう幼虫や蛹が沢山います。その原因は?地表で蛹になり、成虫になった時の寿命は?調べたいことは次々出てきて限がありません。
これでヘイケ蛍を水槽で羽化させるは終了します。